68 欺瞞 deception
嘘は、大切な人との関係を蝕んでゆきます。わたしたちは好意をもってもらいたいという気持ちから、自分にとって都合の悪いことを隠して人を欺こうとしますが、そのように相手を編す行為は、自覚している場合もそうでない場合にも、罪悪感を引き起こします。その罪の意識は、徐々にパートナーとの溝を広げてゆき、与え、与えられるそれまでの関係を変えてしまうのです。
欺瞞があるところでは、わたしたちは本当の自分でない自分を装います。仮面と嘘で自分を途り固めるようになっていくのです。自分を欺いていること、自己破壊的な行為に及んでいることに、自分でも気づいていません。昔から言い習わされている「因果応報」「身から出たさび」などは、そのような精神の動きにまつわる真理をついた表現です。釈迦のことばにも、「因縁によって生じたことを避けることはできない」というものがあります。大切な相手との関係における真情と誠実さは、その割合が大きければ大きいほど、ますます意味と価値を増して、わたしたちにより多くを受け取ることを可能にしてくれます。あらゆる問題の根底には、欺瞞と嘘が潜んでいるのです。
カードを読む
欺瞞に対する最善の心構えは、人に知られたくないことは一切しない、ということです。このカードを受け取ったら、自分を、そして他者をも、赦してください。愚直さを手放して、真実に目を向けましょう。欺瞞を操ってうまく欺き通すことができそうに思えても、やがてそのうち、分離、歓びと価値の喪失というかたちで、そのツケを払うときがやってきます。欺瞞は、あなた自身をも欺きます。他者に騙される自分に甘んじるのも、自ら歩みを止めようとして他者を利用する姿勢を反映しているのです。すべてを投げ捨てて何もかもを失ってしまう前に、まだ修復の時間が残されているかもしれません。今のままで先へ進んでいくことは、お勧めできません。
ビジョン心理学創始者 チャック・スペザーノ博士