50 罠 trap
罠は、わたしたちの歩みを阻もうとすることがらのすべてを指します。それはかかわりよりは孤立を指向する性質をもち、わたしたちの意識をとらえて放しません。そこには、よいこと(たとえば誰かに惹かれる気持ち)に執痛する意識も含まれます。それというのも、そのような執着には、そのうちに惹かれる気持ちを欲求と幻想に変え、望ましくないエネルギーに転じてしまう力があるからです。
人間であるわたしたちは、どんなことにも歩みを止める理由を見つけ出しています。大切な人との関係は、教えを授け、癒し、スピリチュアルな方向へ導き、わたしたちを幸せにしてくれるほか、この世の至福を手にするためのかけがえのない教訓を与えてくれるものですが、そこには同時に、エゴにとっての大きな危険も潜んでいます。エゴは、大切に思う気持ちと愛情とを取り違え、受け取るのではなく奪い取り、差し出す代わりに与えてもらおうとし、自己犠牲と愛を混同するといった罠を仕掛けてくるのです。エゴの繰り出してくるそうした罠は、人間関係を―本来は愛と成長に向かうための最普の道を―歩みを阻む最悪の陥穽に変えてしまいます。わたしたちが罠にはまるのは、次のステップや目標へ向かうことを避けて安全圏にとどまろうとする気持ちに支えられた、自らとらわれようとする意識のなせるわざです。次のステップとは、どんな場合にも今よりいい段階を指すものですが、エゴは先へ進めば失敗が待ち受けていると脅しをかけてくるのです。どれほど厄介な罠にとらえられているときも、次のステップヘ踏み出すことこそ、癒しへ向かう最も簡単な方法です。
カードを読む
罠のカードは、今のあなたが何かにとらわれて歩みを止めていることを示唆しています。自分が罠にはまっていることに気づき、その罠の正体を突き止めれば、すでに半分はそれを手放し、解決の段階に達したことになります。その問題に達する積極的な取り組みの姿勢と、次のステップヘ踏み出す意欲―単に今より望ましいやり方があることに気づくだけでも―が、あなたにとっての大きな力になるでしょう。
ビジョン心理学創始者 チャック・スペザーノ博士