82 執着 holding on
執着とは、過去に生きようとする姿勢です。それは手放し、よりよい場所に向けて先へ進む代わりに、今いるこの地点にとどまろうとすることです。そこには、これまでの経験から生じている人生に対する基本的な不信感がありますが、それを手放さない限り、魅力を失い、相手に依存するようになって、生ではなく死の方向へ向かいはじめてしまいます。
終わってしまった関係に対する執着は、新しい、より良い関係を築いていく可能性を封じてしまいます。大切な人を失ってしまった喪失感は、分裂した意識が引き起こすものです。意識のどこかでその関係を終わりにして先へ進むことを願っている場合にも、自分ではそれに気づかずに、パートナーが去ってしまったことで、一緒にいたいと望んでいたもうひとつの意識がそれを嘆き悲しみ、先へ進むことを拒んでいることもあるのです。大切なのは、この相反する分裂した意識を統合することです―さもなければ、自分で押し込めているもうひとつの意識については気づかないまま、いつまでも傷心と喪失と執着にとらわれつづけてしまいます。相手を、その人との関係を、そして破れてしまった夢をすべて手放してしまえば、新たな人生の幕開けを迎えることができるのです。むしろ手放すことによって、新たなレベルに達したその人が戻ってくるか、人生が次の段階へ進んだことのしるしとして、別の人が現れるかもしれません。成長を遂げるための一番の近道は、手放すことです。幻想であれ固執であれ、ただそれに対する執着を手放すことで、再び人生に向き合って前に進んでいく心が開かれ、これからの道が開けていきます。
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誰か、または何かに対する執着が、あなたの歩みを妨げています。あなたはその人あるいはそのことを、前進を拒否する言い訳に利用しているのです。それは愛を表す姿勢ではありません。そのような態度は、欲求と愛着を反映するもので、大切な人との関係を破壊してしまいます。別の道を選びさえすれば、ここでそれらをきれいに捨て去って、はるかに健全で幸せな関係を育んでいくことができます。
ビジョン心理学創始者 チャック・スペザーノ博士