51 裏切り betrayal
裏切りは、わたしたち人間の意識の奥深くに潜む罠のひとつです。それは自分にとって有利と思われることのために、人を裏切ることです。相手のことを考えるより、自分の欲求や願望を優先させる態度です。自分が勝ち残るためなら、負ける人がいて当然という考え方から生じる不安定な競争意識が、わたしたちに誰かを裏切る態度をとらせるのです。
裏切りは、欠乏感、競争意識、それに拡大しようとするエゴの欲求から生まれてきます。それは誰かを裏切ることによって代わりに何かを手に入れる行為ですが、そこでは自分の高潔さまでもが失われてしまいます。人にしたことは、遅かれ早かれ自分にもはね返ってきます。誰かを裏切ったという思いがあるとすれば、それは昔から抱きつづけている罪悪感を打ち消すために仕組まれた裏切りを表しています。ところがそのような態度は、やがては神と両親を裏切ったという、誤った意識を育む問題に発展していきます。裏切りとは、自分を勝者か敗者のどちらかに位置づける行為です。どちらの結果に終わるとしても、エゴのもくろみは達成されません。勝ったとすれば、罪の意識にとらわれていずれは自分を裏切る行為を企てることになりますし、過去の裏切りを償うために負けるとしても、その先は同じパターンの繰り返しになるだけです。それはいっそう罪悪感を積み重ねながら、勝ち負けにとらわれた終わりのない裏切りの連鎖を招いてしまいます。それでも、そこから抜け出そうという気持ちさえあれば、別な道も開けてきます。
カードを読む
このカードを受け取ったあなたは、裏切りの問題に向き合い、それを癒さなくてはいけません。自分で自分を裏切るか、それとも裏切られるか、いずれのかたちも考えられますが、どちらにしても、それはあなたの奥底にある昔の間違った罪悪感をあがなうための行為か、それを他者に投影しているものにほかなりません。そうした態度はあなたをますます人生から遠ざけるだけで、決していい結果をもたらしてはくれません。そのようなパターンから抜け出すため、目の前にある裏切りに気づき、それを食い止めることに意識を向けてください。その状況にかかわる人たち全貝を赦しましょう。そしてまた、過去の裏切りについても、自分や両親、神、そしてほかの人たちすべてを赦してください。
ビジョン心理学創始者 チャック・スペザーノ博士
