あなたが大切にする限り、物事は続く/ビジョン心理学チャック・スペザーノ博士成功心理100

Lesson 60.  あなたが大切にする限り、物事は続く

 

人やものを大切にすれば、それだけ与えていることになります。何かの理由で大切にしなくなれば、それまで投資したものを失うことになってしまうのです。あなたが尊重し与えている限り、その相手との関係が途切れることはありません。あなたが人生の中で失ってしまったものを思い返してみてください。それは、あなたがそれらを大切にしなくなってしまったからなのです。

70年代半ば、私は人間関係に関して、この原則を直観的に思い知ることになりました。その結果、更生プログラムに参加していた海軍兵たちの大きなハートブレイクを癒したり、数週間続いていた気分の落ち込みを和らげられるようになったので す。

ある若い海軍兵は、半年間の海上勤務中に恋人にフラれたショックで、何週間も腹痛に悩まされていました。延々と続く彼のボヤきを聞いているうちに、私はふとこんな強い直観を得ました。そんなに特別な女性なのに、彼はもう「彼女と一緒にいたい」とは考えていない。いったいそれはなぜだろう?そこで私は彼にこう訊ねてみたのです。「どうしてきみは、もう彼女のことを求めてはいないんだろう?」

その瞬間、彼の瞳にばっと光のようなものがともりました。それから彼はこう答えたのです。「あ、すっかり忘れてました。俺、フラれる数週間前に『彼女とはもう別れよう』って決めてたんです。俺たち、将来に対する希望が全然違ってたから一 俺は進学をめざしてたけど、彼女は四六時中デートしてないと気が済まないタイプだったんです」

いかなる気分の落ち込みも、その根っこには「喪失」があります。ところが私たちは、その喪失前に自分からそれを大切にしなくなったことを忘れてしまいます。それは、私たちの多くが、喪失後に感じる矛盾した気持ちを隠そうとするからにほかなりません。だからこそ、もはや投資していない部分に関して、すっかり忘れてしまったかのような態度をとってしまうのです。これは非常に強力な原則にほかなりません。完全に手放さない限り、人は喪失したものにしがみつき、結果的に人生を放棄してしまうことになるのです。その状態が続けば、受け取ることも前進することもできなくなるのは言うまでもありません。

「あなたが大切にする限り、物事は続く」この原則の重要性に 気づけば、私たちは自らの喪失を最小限に抑えることができます。また相反する感情を統合することで、迷いやためらいを癒すこともできるのです。それは、私たちが「自分の一部が何かを粗末に扱うことで、人生にこれほど深刻な影響が出てしまう」という事実を理解するからにほかなりません。

こうして私たちはようやく、「人びと、状況、物事を大切にする」という自分の心のパワーに気づくことになります。それらを大切にすることで、成功を維持するだけでなく、さらなる成功が導かれることに気づくのです。

あなたの人生における、重大な喪失のいくつかを見つめ直してみてください。あなたはまだそれらを「喪失」と見なしています。そのためそれらを完全に克服することも、手放すこともできずにいます。このせいで、本来ならば自然な容易さや流れ、あるいは「大切にすること」で生じる成功があるべきところに、喪失感、悲しみ、うつの感情がはびこってしまっているのです。

それらの喪失の状況を振り返ってみましょう。潜在意識にアクセスしやすくするために、失ったものに対して「もう大切にしていないかのような」フリをしてください。そうすることであなたは簡単に、しかも効果的に潜在意識にアクセスできるようになります。そのうえで、こう自問してみてください。「なぜ私はこのような結果を望んだのだろう?」

次の表に、あなたが昔失ったものを記入してみましょう。そしてその隣に、それを大切にしなくなった理由を書き出してみてください。

(あなたが昔失ったもの)           (それを大切にしなくなった理由)

1.              1.

2.              2.

3.              3.

この段階で、罪悪感が浮かび上がってくるはずです。いかなる罪悪感であれ、その感情がすでにそこにあったことに気づい てください。その罪悪感はただ隠れていただけなのです。あなたの歩みを滞らせ、あなたのエゴを強化することこそ、その感情の唯一の目的にほかなりません。このせいで、あなたは手放すことも前進することもできなくなってしまっているのです。さあ、今こそその罪悪感を手放す選択を下しましょう。昔失ったものに、いつまでもしがみついていてはいけません。罪悪感を手放せば、あなたはもう一度、自分の人生を前進しはじめることができるのです。

幼少期に体験した大きな喪失の中には、「自立」を目的としたものもあります。そうすれば、自分の両親の話に耳を傾ける必要も、彼らを「ボス」として見る必要もなくなるからです。どうかこのことをハッキリと自覚してください。私はこれまで、 喪失に苦しむ人びとを数えきれないほど扱ってきました。それらの喪失の主な原因は、その人の「自立したい」、または「自らの目的から目をそむけたい」という気持ちにあったのです。

ビジョン心理学創始者 チャック・スペザーノ博士