心とはなんだろうという疑問の答えを心理学や哲学や宗教、さらにスピリチュアリティに求める人も多いと思います。
アプローチに違いはあっても、目に見えない心というものをなんとか知りたいわかりたいという時代や国や民族を超えての探求が、今の心理学や哲学や宗教、さらにスピリチュアリティで語られていることです。
従来の心理学とスピリチュアリティを統合したビジョン心理学では、心の成長を三角形モデルにしています。
ビジョン心理学の言葉が少し難解かもしれませんが、心を知るのに大変に役に立ちますので、ご紹介させていただきます。
1.三角形心理モデル
三角形心理モデル(正式にはビジョン心理学成長モデル)は、私たちの意識の展開図です。
ビジョン心理学の創始者であるチャック・スペーザーノ博士によって考案されました。
1‐1三角形は4段階
三角形は4段階に区分され、それぞれ4つの辺としてあらわします。
◉ 三角形の左側の一辺が、私たちの成長の旅の始まりである「依存のステージ」です。
◉ 三角形の右側の辺が、次のレベルで、「自立のステージ」です。
◉ 底辺の部分が、「相互依存のステージ」です。
◉ 「霊的依存のステージ」は、三角形が閉じる手前で内側に入った左側の一辺になります。
1‐2三角形の外側
三角形の外側に書かれているものは、私たちが直面していく障害やチャレンジをあらわしています。
ネガティブな側面は、必ずしも癒しの旅であらわれる順番に書かれているわけではありません。
むしろ、もっとも効果的に癒すことのできる段階に配置されています。
1‐3三角形の内側
三角形の内側には、ポジティブな性質が書かれており、これを使って、それぞれの障害を抜けることができます。
これらのポジティブな性質は、記述されている段階で使うと特に役に立ち、「抜け道」と呼ばれます。
もっとも、旅のどの段階にあっても、有益であることに変わりはありません。
2.心の旅
ビジョン心理学成長モデルが示す旅は、私たちが直面するどんな新しい状況にとっても、またどんな人間関係にとっても、効果的なモデルとなります。
2‐1スピリチュアルな人生
家族との関係を探るために、また仕事との関係、自分自身との関係、そして創造主 / 神 / 精霊(その他、あなたが信じている高次の存在なら何でも良い)との関係を探求するのに使うことができます。
スピリチュアルな人生は、神とのパートナーシップにあります。
自分が他人と真のパートナーである度合いだけ神とパートナーであり、その逆もまた言えるのです。
2‐2結びつきを遠ざけるもの
どの段階も、結びつきに対する障害とみなすことができます。
それぞれの段階の「ニーズ」と「怖れ」を超越していくごとに、他の人や神との結びつきや関係性が深まっていきます。
それは以前から、常にあったものなのですが、私たちの痛みによって隠されていました。
3.心理モデルの4つのステージ
3‐1依存のステージ
3‐1‐1旅の始まりは被害者
依存のステージは、旅の始まりをあらわし、私たちはそれを赤ちゃんや子どもとして体験します。
また、人間関係という面では、若者としてこの側面を体験するかもしれません。
私たちは生存できるかどうか、また肉体的、感情的に幸福であるかどうかを、親や家族、周囲の人に依存しています。
私たちが望むような形で、特に親に大切にしてもらえないと、私たちは被害者になります。
こんなに苦しんでいるのは親のせいであり、彼らがちゃんとしてくれないからだと被害者になり、苦しんで親や家族に訴えるのです。
この成長段階にいると、山を駆け上がっているように感じることがあるかもしれません。
ここで何が助けになるかというと、何かに勤勉に自分自身を投入し、本気になってやることです。
3‐1‐2人生の土台を築く段階
この段階では、自分のニーズを満たしてもらおうとしたり、喪失やハートブレイク、罪悪感などから逃れようとしたりして、被害者になることがあります。
とてもつらかったり、または周囲の人たちのふるまいがあまりにもひどいと思っているので、自分がしている攻撃は正当なものだと感じているのです。
人生の土台を築くのはこの段階です。
主に他の人に害を与えることなく、また自分も被害者になることがない形で、自分のふるまいをまわりの人や社会と調整することを学習します。
3‐1‐3真実ではない女性性を癒す
誰にでも男性性・女性性の両面がありますが、依存の段階では、真実ではない女性性が誇張されます。
「真実ではない女性性」とはつまり、私たちの被害者の部分であり、他の人たちに真実ではない形で依存している部分になります。
それを癒す段階でもあるのです。
3‐1‐4依存のステージの3つの段階
◉ 依存の第1段階 <ニーズ>
喪失感・満たされない欲求・怖れ・見捨てられた気持ちなどが特徴です。
◉ 依存の第2段階 <ハートブレイク>
傷つくのは、誰かから何かが欲しいのに、それを拒否されたときです。
今体験するハートブレイクは、子ども時代に愛する人や両親、人生や神から拒絶されたと感じた出来事の再現にすぎません。
◉ 依存の第3段階 <罪悪感>
罪悪感は怖れによるネガティブな感情で、過去についての未完了な感情、もしくは嫌悪感です。
かつてハートブレイクの段階で好き勝手にやってきたことを反省し、何らかの形で自分に罰を与えようとします。
3‐2自立のステージ
3‐2‐1依存から無理やり自立する
被害を受け、ひどく苦しんだ後に、もうこれ以上、嫉妬やハートブレイクや感情の奴隷になることはイヤだという瞬間がやっていきます。
自分だけを頼りにし、依存的な人の痛みから逃れようとして、私たちは自立のステージに入ります。
残念なことに、この「自立」はたいていの場合、苦しみやニーズ、被害者の体験からの切り離しでしかありません。
それはどれも押し殺してしまってすっかり埋め込んでしまったために、内面奥深くに隠れていて、自分では気づかずにいるだけです。3-2-2気がついたら加害者に
3‐2‐2いつの間にか加害者に
「真実ではない男性性」が誇張され、故意ではない加害者になる
意図的にだれかを傷つけたいと思っているわけではないけれど、自分の感情から切り離されているために、周囲の人の感情に気づかないので、結果的にだれかを傷つけてしまいます。
一般的にいって、このステージにいるときは、依存のステージにいるときに傷ついた分だけ、他の人を傷つけます。
自立している人が問題の多い状況を扱うときの戦略はコントロールを握るか、その場を去るかです。
3‐2‐3自立のレッスンは
自立のステージにおける中心的なレッスンは、前に進むために、ハードワークをしたり、勤勉になるのではなく、身を任せる、流れに乗る、真実の与え方をして受け取るということです。
自立のステージを進む過程で、私たちは主要な切り離しから抜け出ます。
前に進むに従って、自分の体験・知覚(その時に感じたこと)や感情(過去に作られ、内面からわき上がってきたもの) と自分が一線上につながり、一致するようになります。
数多くの潜在意識のパターンから自らを解放するのが、この自立のステージです。
3‐2‐4自立の3つの段階
◉ 自立の第1段階 <期待>
物事がこうあるべきだというイメージがあり、それ以外では満足しないので、失望してしまいます。
◉ 自立の第2段階 <コントロール>
心の中の2つの部分が対立している状態で、状況を何とか自分の手で操作してコントロールしようとします。ところが、コントロールすることによって、人間関係にパワーストラグル(主導権争い)が起きるのです。
◉ 自立の第3段階 <デッドゾーン>
人間関係や自分自身、真実、本物であること、そして次のステップにコミットするにつれ、角のパートナーシップにいくことができます。
3‐3相互依存のステージ
3‐3‐1パートナーシップへの道
自立から相互依存のステージへと進むのは、意識の上で非常に過激なシフトです。
自分で物事をするということから、他の人たちとのパートナーシップを取るようになります。
このレベルのパートナーシップは、世界を今までとは異なる視点で見ることができ、犠牲や浸り込み、反逆、自己攻撃が少なくなり、反対におもしろさ、楽しさが増し、自分のことを軽くとらえ、ユーモアの持つ癒しの威力を思い出すことができるのです。
3‐3‐2つながること、なすべき仕事を果たす
この世における関心事は、今や、つながることであり、なすべき仕事を果たすということになります。
ただし、人類と自然にとって受け入れがたい代償を支払ってでも仕事を果たすということではありません。私たちの反応能力、慈愛、自然とのつながりが高まるに従って、私たちの成功にはまわりの人の成功も含まれるようになります。
3‐3‐3ライフストーリーや神話が現在の人生の土台
自立のステージでは、潜在意識(受精以降に埋め込まれた問題や感情のすべて)から出てくるパターンを扱いますが、相互依存のステージでは、主に無意識と魂のパターン(受精以前から埋め込まれていた問題や感情)で、私たちの人生のパターンを作り出しているものを扱います。
無意識には、両親や先祖から代々受け継がれてきたパターンも含まれていますし、私たちの持っているライフストーリー(前世のストーリー) からのパターンも含まれます。
これらのライフストーリーや神話が現在の人生の土台になっていて、マインドはこうしたストーリーを使って、人生という旅の展開を語っているのです。
これは、私たちが人類の集合意識から受け継いでいるマインドです。相互依存のステージでは、自分自身や身のまわりにいる人たち、そして、神との関係が深くなっていくのを体験します。
前に進むに従って、感情と痛みが心の奥深くから表面化してきます。解消しないと、病気やケガなどにつながる可能性のある強い感情を取り扱います。
3‐3‐4想念に責任を持つ
想念に中立はなく、実際には、観念が私たちの住んでいる世界を作っているのだと気づき、自分が持っている想念に責任を持つようになります。
想念は私たちを生きることや創造性の方向へ連れて行くか、死と破壊の方向へ連れて行くかのいずれかになります。
相互依存のステージへ進むと、人間関係の持つ霊的な教えを理解します。相互依存のステージは、悟りの角へとつながる道です。
私たちはそこにあるすべての状態の一部であると気づくと、そこにはただひとつの私たちがあるだけになるのです。
3‐3‐5自立の角を曲がるとすぐにあるのは
- パートナーシップ
自立の角を曲がって相互依存への入口となるのがパートナーシップです。ここでは、まわりの人と対等で親密な関係を持つことができます。
成功してその成果をまわりの人たちとわかちあい、楽しむことができるようになります。
パートナーシップは、ひとつのマインドになると選択することです。問題や課題の解決に際しても、2人の関係を最優先事項にすることで、落ち着くべきところに落ち着いていきます。
- フレンドシップ
ひとりの人とパートナーシップを組めるようになると、他の人ともパートナーシップを組むことが簡単にできるようになります。
この段階では、友情の威力と喜びが人生に流れを作るのだと気づき、パートナーや身近にいる人たちとの友情を築くようになります。
このステージの終わりに近づくと、全世界の友だちになることができます。
フレンドシップはリーダーシップに進むための前段階。自立から相互依存へのシフトがあまりにも大きいため、まずは「友だちに手を差し伸べる」ことから始めます。
3‐3‐6自立のステージの3段階
◉ 相互依存の第1段階 <リーダーシップ>
個人のワナから抜け出て、エゴのワナが存在する目的について理解します。
リーダーシップとは、助けを求める声に反応することです。
◉ 相互依存の第2段階 <ビジョン>
ビジョンの段階では、自分を全身全霊で与え、新たな道が示されるように自分のすべてを賭けて、より心を開くことが求められます。
◉ 相互依存の第3段階 <マスタリー>
恩恵のレベルで生きることができるようになり、自然とも一体となっているので、あらゆることが努力なしで、簡単になるのです。
3‐4霊的依存のステージ
3‐4‐1一体感のへの道
霊的依存は、幼子のようになる状態のことです。
そうすると、天の王国、つまり一体感の意識に入ることができます。
究極的には、自分が大いなるスピリットの中にいる霊なのだと気づくことです。
最後の、もっともひどい痛みのパターンと体験に直面します。
最終的には、マインドに起きたもっとも古い分裂と他の人たちから分離した一番の元を見つけるのです。
3‐4‐2悟り
深い覚醒の体験であり、スピリットしての自分自身を認識することであり、神と一体感に気づくことです。
このステージの障害は溶けてしまうこと、愛、幸せ、すべてを手に入れてしまう怖れ、神への怖れです。
3‐4‐3霊的依存の3段階
◉ 霊的依存の第1段階 <統一:ユニティ>
「マインドの悟り」「仏陀の悟り」と呼ばれ、神の目で人が見られるようになっていきます。
◉ 霊的依存の第2段階
ハートの悟り、愛の悟り、他の人たちや最愛の存在としての神との和合に関わる場所です。
◉ 霊的依存の第3段階 <一体感:ワンネス>
神の意志と一致する最終段階です。ここで、私たちはそこにあるすべてのものとひとつになります。
まとめ
この三角形モデルは、心の成長を表すために長い年月をかけて今も研究され進化し続けています。
すべてを理解するには、それなりの時間がかかります。
ここで知っておいていただきたいのは、心の成長には段階があるということです。
最初は人生の土台を築く依存のステージ、次に自分で自分のことが出来る自立のステージ、次には誰かとパートナーシップを取っていく相互依存のステージへと進みます。そしてスピリチュアルな道である霊的依存のステージへと続きます。
分る、理解できる、ということに価値を置きすぎると、真理が見えなくなるというということもあります。
分らないから分りたいと願い学び続けることが、心の成長の道かもしれません。