心は目で見ることは出来ませんが、心の中で起きていることが、私たちの行動や現状に影響を与えていることは心理学の研究でも明らかです。
自分の気持ちの変化や、人間関係で生じる様々な出来事、仕事や人生の悩み、それらが私たちの幸せ度に関係しています。
悩みを抱えて苦しい時に、もしも心の中で起きていることが目に見えたら、と思って心理学に興味を持つ方も多いと思います。しかし本を読んでも、心理学用語が難しかったり、性格診断やタイプ分けだったりで、それが人生にどのように役立つのかよくわからなったりしたことはありませんか?
本当に知りたいのは、今の心の成長の程度と、これからどこを目指せばいいのかの手がかりが欲しかったのかもしれませんね。
この心理モデルに当てはめると、自分に今何が起きているかを知る手がかりになり、更にはどうやったらその苦しさから抜けられるのかもわかわかります。
ここでは心の成長の展開図でもある心理モデルをご紹介します。
1.心理モデルとは
ここでご紹介する心理モデルは、「すべての問題、ワナには抜け道がある」という原則があり、人の心の成長を「ビジョン心理学成長モデル(心理モデル)」という図表にしたものです。
心理モデルでは、心に成長の段階があるということを伝えています。
わかりやすくお伝えするために、ここでは実物のビジョン心理学成長モデルを簡略化した図1でご紹介します。
図1
1-1心理モデルを使うことで出来ること
人生でどんなワナにハマり、どんな問題をどのように現実に起こしたのか、どのようにワナを抜け、どこに向かって成長し続ければよいかということが明確にわかるようになったのです。
その他カウンセリング、セラピー、研修やセミナーでこの心理モデルを活用し、目覚しい成果をあげることができています。
1-2心理モデルからわかること
心理モデルでは、心に成長のステージがあるということを伝えています。
大まかに分けて依存、自立、相互依存(共同創造)の3つのステージがあります。
今体験している悩みや問題を、成長モデルに当てはめることで、自分の成長レベルが心理モデルのどの段階にいるのかがわかります。
どの段階にいるのかがわかれば、問題の原因にどんな心理的な要素があるのか、そしてその問題の原因である心理的な要素と、それがなぜ苦しいのかがわかっています。
どのような悩みであっても、原因になる心理的な要素がわかることで、悩みの解決に取り組みやすくなったり、問題がただ対処すればいい事柄と思えるようになります。
2.心理モデルの3つのステージ
私たちは生まれた時から、人に依存して成長する「依存のステージ」から経験し始めます。
仕事においても最初に新人で入った時には依存のステージからスタートし、その後一人前にやっていける「自立のステージ」を経て、お互いに幸せ、成功を受け取っていく「相互依存のステージ」に入るのです。
それぞれの段階において、幸せを妨げてしまうワナ(三角形の外側)と抜け道(三角形の内側)があります。図1参照
2-1依存のステージ
新入社員や、個人差はあるものの入社2、3年、業種によっては入社5年など、誰かに教えてもらったり、指示を仰ぐなど、他人や会社などに心理的に頼っている状態をいいます。
新しい仕事を始めると依存の状態からスタートして、自立のステージへと進みます。転職などをすると、依存のステージからやり直すこともあるのです。
依存のステージから自立へのステージへと健全に成長するならば問題にはなりませんが、問題に引っかかってしまうと、成長が妨げられてしまいます。
依存のステージでは被害者意識、まわりのせいでこうなったという意識が強く、「私のことをかまってほしい」「誰かに依存したい」という欲求が未熟な態度をとるなどして問題を作ります。
2-2自立のステージ
上司などに頼らずに、ある程度の仕事ができるようになり、部下を持ち始めたり、リーダーやチーフといったポジションにつき人に頼られたりするようになると、大体自立のステージに入ります。
自立のステージは長期にわたり、企業でいうと、中間管理職、管理職、役員など多くの人がこの段階に含まれるでしょう。
自立のステージでは加害者意識、自分のせいでこうなったという意識が強く、「自分がいけなかったんだ」「自分が背負わなければ」「自分が頑張らなければ」という気持ちが強くなり、そのことが問題を作ります。
気がついてみるとまわりの人を傷つけている、まわりに被害者を作ってしまうというようなことが加害者意識を持っていると起きてくるのです。
2-3相互依存のステージ
依存と自立のワナを乗り越えていくと、相互依存という段階の「幸せな成功者」という生き方が始まっていきます。
相互依存の段階に入ると、問題を癒していくこと、ワナを癒す上で自分が才能や恩恵を受け取っていくということが大切になり、幸せな成功者として、才能や恩恵をいっぱい受け取っていくという段階になるのです。
3.目指すステージは相互依存
「相互依存(Interdependence)」とは、一般的に使われている共同創造のことを言い、お互いに依存しあうのではなく、お互いに個人として十分に成熟し、対等な関係を築き、それぞれがその関係に責任を取っているパートナーシップの関係です。
自立を卒業し、パートナーシップを取ることで、競争から共創(共同創造)という、より高いレベルの創造性を受け取る段階に入ります。
3-1幸せな人間関係
夫婦、家族、ビジネスパートナーなどと、素晴らしい人間関係を築いていて、友だちとの関係も非常に大切にしているし、職場で一緒に働いている人たちや、仕事の取引先の人とも幸せで平和で豊かな人間関係を築くことができています。
3-2対等さが基本
その基本となるのはお互いが「対等」であるということです。自分のほうが偉い、相手のほうが下だといった上下関係や、どちらが偉くてどちらが偉くないという関係ではなくて、お互いに人間の価値は対等だということを認めている関係です。
たとえ自分が社長で相手が普通の社員であっても、お互いに人間の尊厳という意味では対等です。人間としてお互いに価値ある存在なのだと認めて対等に関わります。
3-3パートナーシップを生きる
男女関係においても、男尊女卑と言われるように女性蔑視をしたり、あるいは女性が「男なんかやっつけてやれ」というような男勝りになったりと、お互いに異性を攻撃するというような関係ではなくて、男性・女性どちらも対等でお互いの成功、幸せに協力しあう関わりです。
パートナーシップを生きることにより、仕事だけ、あるいは家族のことだけに偏るのではなくて、仕事も家族も、バランスの取れた人生になっていくのです。
4.心理モデルを生んだビジョン心理学
今回ご紹介した心理モデルは、正式には「ビジョン心理学の成長モデル」と呼ばれています。
4-1ビジョン心理学創始者
ビジョン心理学は、心理学とスピリチュアリティの統合に基づいた実践的・療法的な心理学です。ハワイ在住のチャック・スペザーノ(Chuck Spezzano / 米国の心理学者)によって、1970年代に提唱されました。
チャック博士は心理学を学ぶ以前は、神学校で学ばれていたので、基礎にスピリチュアリティがありました。
その後、妻であるレンシー・スペザーノ(Lency Spezzano / リハビリテーション・カウンセリングの分野で修士号を取得)と共同開発を続け、今日も進化し続ける最先端の心理学と言えるでしょう。
4-2ビジョン心理学の特徴
ビジョン心理学の大きな特徴のひとつは、人間の魂の進化を図表で示したことにあります。
この『ビジョン心理学成長モデル』によって、それまで不鮮明だった私たちの意識の働き方、慢性的な問題を解決する道、そしてこれらのワナが隠しているギフト(個人的才能)やマインドの領域を視覚的に説明することが可能になりました。
「マインドの4つのレベル」図2にアプローチすることで、心理的な傷やトラウマの回復に非常に即効的・効果的であり、問題の根源を癒すことができます。
図2
ビジョン心理学では、個人のビジョンや生きる目的・才能を発見することが癒しをもたらす重要な要素であると考えています。
自らの持つ悪循環のパターンに気づくことで、困難を乗り越え、新しい生き方や幸せになる方法を探し出し、創造的なリーダーとなることに主眼をおいています。
4-3世界に広がるビジョン心理学
世界各国でビジョン心理学を学ぶ人が増加し、現在では、イギリス、ドイツ、スイス、オーストリア、スペイン、アフリカ、台湾、中国、マレーシア、バングラデシュ、バルバトス、シンガポール、日本などで学習、カウンセリング、セミナーが行なわれています。
まとめ
自己成長のために心理モデルを活用することで、成長の方向性がわかり、今の自分自身と今の状況をもっと味わえるようになるでしょう。