あなたは本当に欲しくもないものを「奪われた」と感じる/ビジョン心理学チャック・スペザーノ博士成功心理100

Lesson 59.   あなたは本当に欲しくもないものを「奪われた」と感じる

 

「自分にはこれが必要だ」と感じているものを、ひとつ残らず思い浮かべてみてください。「自分にはこれがまだ足りない」と不満に感じているものを、すべて思い浮かべてみるのです。たとえば、愛、時間、お金、セックス、成功、容易さ、休暇、コミュニケーションなどがあげられるでしょう。

ところが、あなたの潜在意識に従えば、それらはあなたが本当に求めているものではありません。もし自分の望みをハッキリと理解し、そこに何の葛藤もなければ、あなたは本当に欲しいものを手に入れられるはずなのです。

葛藤によって、怖れや相反する気持ちがもたらされてしまいます。そのせいで、あなたは欲しくもないものを手に入れようとしてしまうのです。そんなあなたを思いとどまらせてくれるのは、あなたの心の隠れた部分にほかなりません。

このことに関する、典型的なエピソードを紹介しましょう。

1978年、私は薬物更生プログラムの一環として、ある海軍兵グループのセラピーを担当していました。ある日、その中の19 歳の兵士がこんな不満を漏らしたのです。「あーあ、俺、この9カ月間、誰ともセックスしてないんだ」

この点に関しては、同じグループの兵士たちも皆、彼に同情しているようでした。その若い兵士は新人訓練キャンプに半年間参加したあと、すぐに2カ月半の海上勤務を命じられ、休む間もなくこのリハビリ・センターにやって来たのです。彼はオリエンテーション(軍への復帰や仕事の手順などに関する教育)を1週間受けたあと、ようやくセラピー第 1 週目を終えようとしているところでした。

私はその19歳の兵士にこう言いました。「きみはセックスを本当に求めてはいないんじゃないかな?」

すると、彼はものすごい勢いでいすから立ち上がり、私につかつかと歩み寄ると、猛然と抗議をはじめたのです(シェイクスピアの台詞をもじって言えば「ちょっと抵抗しすぎじゃないかな」、つまり、そんなに否定するのは本当だからに違いないということです)。他の若者兵士が3人がかりで抑えつけ、ようやく彼はおとなしくなりました。

私は話をこう続けました。「まあ聞きなさい。だまされたと思って、今から私の質問に答えてくれないかな。それで答えを出せばいいじゃないか」

彼はすぐさま同意しました。

私は彼にこう訊ねました。「もしわかるとしたら、きみはセックスをどのようなものだと信じているだろう? きみにとってセックスは … … 」

彼はこう答えました。「セックスは楽しい」

私が再び同じ質問をすると、彼はこう答えました。「セックスは汗をかく」

私はもう一度、彼にこう訊ねました。「もしわかるとしたら、きみはセックスをどのようなものだと信じているだろう? きみにとってセックスは … … 」

すると彼はこう答えたのです。「セックスは利用するものだ」

「セックスが楽しい」というのは、明らかに肯定的な信念/観念です。「セックスは汗をかく」というのは、彼の好みによって肯定的にも否定的にもとれる信念/観念と言えるでしょう。しかし「セックスは利用するもの」というのは、明らかにセックスヘの抵抗感を示す信念/観念にほかなりません

私はさらにこう質問しました。「もしわかるとしたら、きみが「セックスは利用するもの」と信じるようになったのは、いくつの頃だろうか?」

彼はこう答えました。「16歳のときさ」

私はこう訊ねました。「もしわかるとしたら、そのとききみと一緒にいたのは誰だろう?」

その瞬間、私は彼の瞳に記憶の光が宿るのを見ました。それから彼は、同僚兵士たち全員をうならせ、羨ましがらせるような話を語りはじめたのです。

「俺には女のいとこが4人いるんだ。俺が16歳のとき、彼女たちは16、17、18、19歳だった。で、どういうわけかその子たち、俺とセックスで「親交を深めたい」と言い出して・・・それで俺、彼女たちと代わる代わるセックスしたんだ」この頃になると、同僚兵士たちはあんぐりと口を開けたまま、彼の話に聞き入っていました。

話を進めるにつれ、彼はその出来事で自分が利用されたように感じ、それ以降セックスに対して心を閉ざしてしまったことに気づきはじめたのです。

私はセックスに関して別の選択をするよう、彼に提案しました。今こそ、彼がセックスに対して再び心を開くことを選ぶ瞬間だと説いたのです。彼は目を閉じて神妙な面持ちになると、数秒かけて再選択の道を選びました。そしてその日の午後、彼は9カ月ぶりに自由な週末を満喫することになったのです ・・・ 。

月曜の朝、私のオフィスの前で彼が待っていました。にこにこと笑いながら、私に何度も握手を求めたあと、彼は大声でこう叫び出したのです。「なあみんな、この先生の言うことをよく聞いた方がいい。この先生はスゴいよ。本当に俺を助けてくれたんだ。この先生の話はちゃんと聞いた方がいい。俺が保証する!」

そのあと聞いた話によれば、彼は週末がはじまると同時に、 すてきな女性に巡り合ったといいます。そしてその週末中、彼女のアパートでずっと一緒に過ごし、宅配で食べ物をオーダーするとき以外は、片時もベッドを離れなかったというのです!

これこそ「本当に欲しくないものは、いくら得ても決して満足できない」という教訓の正しさが証明された瞬間にほかなりません。実際私もこのとき、この教訓を胸に刻みつけることになったのです。

さて、あなたの人生に足りないように思えるものは何でしょう?    このことに関して、いくつか質問をさせてください。

あなたが「今のままでは物足りない」と感じているカテゴリを選んでください。ここでは例として、「成功」を選ぶことにしましょう。

  1. もしわかるとしたら、私は成功に関して何を怖れているだろう?
  2. もしわかるとしたら、私は成功に関して何を怖れているだろう?
  3. もしわかるとしたら、私は成功に関して何を怖れているだろう?
  4. もしわかるとしたら、私は成功に関して何を怖れているだろう?
  5. もしわかるとしたら、私は成功に関して何を怖れているだろう?

答えが次々と思い浮かぶようなら、この質問をもっとくり返しても構いません。

ある程度時間をかけて、自分の答えをよく考えてみましょう。それらが成功に関する自分の信念/観念だと認めてください。それらの信念/観念はあなたのものです。そのため、あなたはそれらを自分の望みどおり、いかようにも変えることができます。

そのうえで、次の質問を5回自問自答してみてください

自分の信念/観念で成功を享受できていないとすれば、その信念/観念は「これには対処したくない」という、あなたの拒絶のレベルを示しています。それにきちんと対処する心の準備ができれば、あなたは自分の否定的な信念/観念に気づき、新たな選択を下し、今よりもはるかに成功することができるのです。

今、あなたが「手放したい」と思うのはどのような信念/観念ですか?

今、成功に関してあなたが「決断を下したい」と思うのはどんなことですか?

今、あなたは成功へと続くドアを開けることを選択しますか?

ビジョン心理学創始者 チャック・スペザーノ博士