仕事や人間関係で悩んで、その解決のために自分なりにいくら頑張ってみても結果が出なかったり、解決の方法が見つからなかったりすると、とても苦しいです。
そういう時に誰かに相談に乗って欲しい、導いてほしいと思うことってありませんか?
もしも、相談に乗ってくれて導いてくれる存在が身近にいてくれたら…それはとてもラッキーで幸せなことです。
そういう実際の問題解決の方法を教えてくれるだけではなく、その人の人生経験から沢山の気づきを与えてくれる人、そういう人を人はメンター(師匠)と呼びます。メンターを持つ人(メンティ)とメンター、それぞれの立場のメリット・デメリットについて書きます。
1.メンターとメンティ
メンター(Mentor)は人生あるいは仕事のよき指導者、助言者を意味する英語で、メンターの指導や助言を受ける人をメンティ(Mentee)と呼びます。
メンターにはメンティが、メンティにはメンターがいることによって、双方の関係性が生まれます。
1-1メンターとは
メンターという言葉の由来は、ギリシャの詩人ホメロスが書いたとされる叙情詩『オデュッセイア』に登場する老賢人「Mentor(メントール)」の名からきています。
その由来から、現在でもビジネスの現場では後輩の精神的なサポートをする先輩をメンターにする人材育成を目的とするメンター制度が、起業の業務として、広く一般的に取り入れられています。
メンター制度の場合は、自分がメンターの役割であること、誰のメンターであることを自分も周囲も認識していますし、職務の一環です。
企業のメンター制度のメンター以外にも、メンターの由来通り、助言者としてガイダンスをもらう存在であったり、師匠としてその技術を学ぶ存在であったり、あるいは人生そのもののお手本=ロールモデルとして、自分自身に強く影響を与える人をメンターと呼んだりもします。この場合は、自分がメンターであることを必ずしも認識しているとは限りません。
メンターは自ら名乗るというよりは、むしろ助言をもらいたい人から「メンター」と呼ばれる、あるいはメンターとして選ばれることによって、自分が誰かのメンターであるということを知る場合もあります。
1-2メンティとは
メンティとはメンターを持つ人で、メンターの指導や助言を受ける人のことを指します。
企業のメンター制度の中では、人材育成の研修制度としてメンターを持つメンティになります。
メンターに直接助言や指導をもらうメンタリングを受けていない限り、メンティという呼び名は一般的ではありません。ましてやメンターがメンティの存在を知らない場合はなおさらです。
1-3メンタリング
メンタリングとは、メンターがメンティに行う個人の成長をサポートすることを目的とした指導方法です。
メンターはメンティに対して、指示や仕事の仕方を教えるというよりも、メンティ本人のやる気や、自発的な成長をサポートします。
そのためメンタリングは、コーチング同様に様々な質問を投げかけたりすることで、メンティ本人の内側から答えを引き出します。
コーチングはビジネスの現場で起きる問題解決や個人の目標達成や、自発的なやる気を引き出すのに効果を発揮します。メンタリングは、コーチングに比べてもう少し広範囲に、精神的なサポートをすることも含み、仕事以外の悩みや、心の内面に寄り添うカウンセラーの要素も含みます。
2.メンターとメンティの関係 メリット・デメリット
メンターとメンティの関係の中にあるそれぞれのメリット・デメリットがあるとしたら、どんなものがあるでしょうか。
2-1メンティのメリット
メンティはメンターを持つことによって、精神的なサポートとよき助言を得ることで、心の安定と自分の心の声に気づきやすくなります。そのことによって、仕事や学びに取り組みやすく、また目標に向けてのチャレンジが出来るようになります。
2-2メンティのデメリット
メンティがメンターに対して、信頼し続けることが出来ないとメンターの助言もサポートも活かされません。またメンター制度などで、メンターとメンティのミスマッチングや、お互いの相性が悪い、メンターの力量不足などがある場合も同様に上手くいきません。
メンティの側から、メンターとの関係が上手くいっていないことをメンターには伝えにくい、メンターがメンティの様子に気づかない場合などもあります。
メンティが複数のメンターあるいは、コーチやカウンセラー、上司などから助言や指導をもらうと、それぞれの助言が異なる場合は、かえって混乱してしまうことも起こりえます。
メンティがメンターに対して依存的になると、自分の内側から答えを引き出すことが出来ず、メンターから指示を得ようとしてしまいます。
2-3メンターのメリット
メンターはメンティがいることで、自分の経験を生かすことが出来て自信になります。メンティの成長をサポートすることで、人材育成の経験を積むことが出来ます。
それらが自己成長のモチベーションになり、仕事のスキルや人間力の成長のために学び続ける必要性を感じます。
よりよいメンターになるためにリーダーシップ学び、リーダーとして貢献する生き方になってきます。人間力が増し、魅力あふれる存在になります。
2-4メンターのデメリット
メンター自身がメンターを持った経験がないと、メンター像をイメージすることが難しく、メンティの導き方が難しくなります。
メンターのキャリア、コミュニケーションのスキル、人間力が不足すると、メンティとの間に信頼関係を築くことが難しい場合があります。メンターが信頼関係を築けないと、せっかくのよい質問や助言がメンティにとって効果的ではなくなってしまいます。
企業内の研修としてのメンター役の場合、通常の業務以外の仕事になるので、時間的に負担になってしまうことがあります。制度として社内で認識し、周囲の理解と援助が必要になってきます。
研修ではなく、個人的にメンティからの依頼でメンターになることを引き受けた場合は、よきメンターであろうとすればするほど、時間と労力を使います。メンターの負担が大き過ぎ犠牲的になると、お互いの関係性を壊していまいかねませんので注意が必要です。
3.メンターとメンティの関係に大切なこと
3-1対等さ
メンターとメンティは助言をする側と、助言を受ける側という意味では立場こそ異なりますが、お互いが相手を尊重する、一人の人間としての価値が対等であるということを覚えておいてください。
メンティは相談したことの経過や結果をメンターに報告することが相手への敬意や感謝を伝えることになります。また必要以上にメンターの時間を奪わない配慮も必要です。
メンターはメンティに対して、心配ではなく信頼しているということが伝わる関わり方が大事です。
3-2共に学ぶ姿勢
メンティはメンターから様々なことを学びます。しかし、なんでもかんでもメンターから教えてもらおうとするのではなく、自ら学ぶ意欲と努力をしましょう。頑張っているメンティの姿に、メンターは助けになりたいと思うものです。
メンターもメンティから学ぶことが沢山あります。かつての未熟だった自分の姿を思い出させてくれたり、必死で努力する姿に刺激を受けたりもします。また指導力、人間力が上がり、よりよいメンターとして魅力あふれるリーダーになります。
3-3自分の体験に責任を持つ
メンターとメンティのそれぞれが、上手くいかないのを相手のせいにして依存的な態度の被害者になったり、自分のせいにして自分のせいにして自分を責めだすと、この関係が上手くいきません。
いましている体験は、それがどんな体験であっても、自分の選択の結果です。自分の選択に責任を持つということが、メンターとメンティ両方の成長のために求められます。
4.まとめ
メンターとメンティ、それぞれのメリット・デメリット、そしてその関係性の中で大切なことについて書きました。
メンティはメンターを持つことで成長し、いずれ誰かのメンターになっていく。メンターもメンターを持つことで成長し続けていく。
誰もが身近な相談相手としてメンターを持つのが当たり前になったら、沢山の人が自分の才能を発揮する生き方が出来る。そんな社会を思い描いています。