Lesson 47. マニフェストを最大限活用する
1980年、私ははじめて「ハワイに移住したい。そしてそのための移転費用を誰かに出してほしい」というマニフェストを行いました。当時の私には、 ハワイ移住を実現するほどのお金の余裕がなかったからです。私にとって、 ハワイはまさに夢の土地でした。 ハワイは美しく、女性的で、素晴らしいビーチに恵まれています。私が望むすべてを兼ね備えていながら、私には手の届かない土地だったのです。ハワイ移住は、望むにはあまりに大きすぎる願いのように思えました。にもかかわらず、マニフェストの威力を知っていた私は、せわしない仕事生活の合間を縫って、 ハワイヘの想いをマニフェストし続けたのです。するとどうでしょう。3年後、私はトレーニングや講演会のためにハワイをひんばんに訪れるようになりました。そしてその年の9月、とうとうハワイでの仕事の誘いを受けたのです。その誘いには私の移住費用もすべて含まれていました。こうして1983年11月、私はついに憧れのハワイヘ移り住むことになったのです。
私は自分の中に、このマニフェストの支障となる信念／観念の体系があることに気づきました。それは「自分の価値」に関するもの、たとえば「私にはそんな大きな贈り物を受け取る価値などない」「私には夢の土地に住む資格などない」というようなものでした。それでも私はその 3 年間、折にふれてマニフェストを行うようにしました。そして、とうとうその夢を実現することができたのです。
マニフェストは、私たちに自分のマインドの有効性を教えてくれる、貴重な贈り物と言えるでしょう。残念ながら、私たちは自分のハートやマインドの 「取扱説明書」を持っていません。
そのため、自分に秘められたパワーや贈り物の活用法をほとんど知らずにいるのです。私は先の体験により、「自らの否定的な信念／観念の体系から解放される」という新たな選択を下すことができるのに気づきました。これにより、私を真の願望 （「ハワイに住みたい」）から遠ざけていたものから解放され、マニフェストのプロセスに拍車をかけることができたのです。このことからも、マニフェストが特に何か大きな願望を叶えたい場合に有効であることがおわかりいただけるでしょう。
今日は、あなたの大きな夢をひとつ選びましょう。目を引くような大きな文字で、その夢を書き出してみてください。そし てその紙を肌身離さず持ち歩き、常に自分の目標を意識するようにするのです。朝一番、夜寝る間際、そして思い出したときはいつでも、その夢のマニフェストを行うようにしましょう。
その夢は必ずあなたの元へやってきます。あなたのハイアーマインド（創造的なマインド）にお願いし、自滅的な信念／観念の体系をすべて取り除いてもらいましょう。そんなものにとらわれているよりも、自分の大きな夢に向かっていく方がよいに決まっています。今の自分の生き方や自分自身に関する否定的な概念以外、あなたには何も失うものなどないはずです。
ときには、あなたがその効果を信じている限り、マニフェストの効果が持続することもあります。たとえばまだ独身だった80年代前半、私はマニフェストをひんばんに行うことで、数多くの女性とデートを重ねることになりました。当時の私は、未来のデート相手に対して求める魅力的な要素をいくつもリストアップしていたのです。はたしてそのリストを書き出してから 2カ月後、私の願望どおりの美しい女性たちが次々と現れるようになりました。たしかに、それは非常に楽しいひとときでした。でも、勇気を持って「真のパートナーが欲しい」というマニフェストを行ったとき、私はそれよりもはるかに楽しくワクワクした気分を味わうことになったのです。
真のパートナーに関するマニフェストを行う場合、気をつけなければいけない点があります。例として、私がサンディエゴ 時代に担当した、ある女性クライアントの話を紹介しましょう。
彼女は将来のパートナーに望む要素を25個 リストアップし、「こんな『完璧な男性』と出会えますように」とマニフェストしていました。そして数力月後、まさにその条件にぴったりの男性と巡り合ったのです。そう、その彼はハンサムでセクシー、まさに完璧な男性でした。ところがどうしたことでしょう、彼女は彼のことを兄のようにしか思えません。そのときになってはじめて、彼女はこう気づいたといいます。「どうしよう？マニフェストのリストに『その男性が私にとって魅力的であること』っていう要素を入れ忘れちゃった！」
とはいえ、そんな「完璧な男性」にはめったにお目にかかれるものではありません。そのことがよくわかっていたため、彼女はとりあえずその男性と結婚しました。ところが結婚後も彼との仲に希望がもてず、悩んだあげく、私を訪ねてきたというのです。
幸いにも、このケースは一度のセッションで解決することができました。私は、彼女に「夫に魅力を感じるようになりたい」 という願望をマニフェストするよう促したのです。このとき、私自身も「彼女の願望が叶いますように」とマニフェストしたことは言うまでもありません。こうして彼女はマニフェストの威力と自分のマニフェスト能力を思い出し、新たな希望を抱いて帰宅していったのです。それから1カ月経ったある日、彼女からこんな電話がありました。「おかげさまで、今では夫ととても仲よくしています。なんだかこれまでのことが嘘みたいです」
80年代はじめ、「すてきな女性とデートしたい」とマニフェストしていた頃、私はいくらマニフェストしても、自分自身がまだ分離の状態にあり、成熟さに欠けていることに気づきまし た。そのため、私は愛するパートナーに対して自分を開くことも、その交際を最大限楽しむこともできなかったのです。大切なのは、リストを作るときに「自分が成熟すること」「自分自身が楽しむこと」に関する願いを忘れずに盛り込むことと言えるでしょう。
もうひとつ大切なのは、何をマニフェストするにせよ、誠実さを忘れないことです。他者の恋人や仕事を横取りするようなマニフェストは控えましょう。あくまでも自分のために、完璧なパートナーや完全な仕事を願うようにしてください。そうしないと、あなた自身に害が及ぶような「カルマのパターン」が生まれてしまいます。他人のものを追い求めるのはナンセンスです。そんなことをしても、あなたは幸せにはなれないでしょう。
この頃、私は何か大きな願望をマニフェストする場合、こう言い添えるようにしています。「それが神の意思に沿うものなら実現しますように」。こうすれば、その願望に縛られることがないからです。
自分の望みをマニフェストすることは、幸福と成功における 長い学習曲線のほんのはじまりに過ぎません。たとえば私の場 合、のちに妻となるレンシーとデートし、「彼女こそ真のパートナーだ」 と気づいたあとも、その恋愛関係を成功へ導くためには多くの教訓を学び、たくさんの癒しを経る必要がありました。私にとって、マニフェストこそ、自分の人間関係を成功させるために不可欠なツールだったのです。
ビジョン心理学創始者 チャック・スペザーノ博士
