コーチングで習うラポールの構築4つのテクニック

コーチングで習うラポールの構築4つのテクニック

営業パーソンが、新規の顧客を獲得したいと気が焦り、訪問するなりいきなりパンフレットを広げ、説明を始めてしまいました。

他社との違い、自社のメリットなどを一方的に伝え、本人は一安心だったのですが、肝心のお客様の反応は悪く、契約ができませんでした。

人ごとだと容易にわかるのですが、この営業パーソンはお客様とラポールを築く前に、売り込みをはじめてしまい、失敗しました。

お客様はまだこの営業パーソンから話を聴く準備ができていませんでした。

さらに、モノは信頼関係のある人からしか買いません。まだ信頼関係ができる前に、いくら売り込んでも売れませんね。

同じ売り込みをするのでも、お客様と「ラポール」を築いて、そしてお客様の抱えている悩みを十分に理解してから、サービスの紹介をしたならば、結果は大いに違っていたことでしょう。

ラポールとは、コーチングの大切な要素で、「信頼関係を築く」ことを指します。

ここでは、ラポールの構築に必要なテクニックについてお伝えします。

1. ラポールとは

コーチングを行う上で一番大切なことは、言葉の定義を明確にすることです。コーチとクライアントが同じ言葉を違う解釈をしていると、ミス・コミュニケーションを生んでしまいます。

ここでは、ラポールとは何かを確認していきましょう。

1-1.  ラポールの意味

ラポールは「親密な関係」と訳されます。フランス語の「橋を架ける」から来ています。

例えば、あなたがある人と一緒にいて楽しいと思う時、二人の間には「ラポール」が形成されています。親密な関係です。

それは当然、あなたの思いと同じように、相手もそう感じている、という状態です。ラポールが築けているということは、双方にとって良好な関係です。

1-2. ラポールは内面的な要素が大事

ラポールは、「親密な関係を築く」と訳すよりも、「信頼関係を築く」ほうがふさわしいです。表面的な要素よりも、内面的な要素が大切です。

一般的な解釈では、例えば、営業パーソンが取引先の担当者とラポールを築こうとするとき、そのためには、「遅刻をしない」「約束を守る」「レスポンスが早い」など、業務の過程において、粗相がないようにすることを考えてしまいます。

しかし、ラポールというのは、事務的なことや作業面、理屈によるものではなく、内面的なものに近い考えになります。相手の感じ方です。

これは何となく気が合う間柄、と思う感覚に近いかもしれません。 ラポール心が通じ合い、そして自然に形成されるものです。

2. ラポールを築くための4つのテクニック

自然に形成されるものであっても、ラポールを築くためのちょっとしたテクニックはもちろん存在します。今回は4つ紹介します。

  1. ミラーリング
  2. ペーシング
  3. キャリブレーション
  4. バックトラッキング

これらは良く知られたテクニックですが、知っておくことは有用です。

ただし、今から紹介する4つのテクニックは素人には難しい部分もあり、使いすぎるのも 逆効果になってしまうものなので、いきなり実践で使うのではなく、親しい人と話す場合 で練習をして慣れてから使うことをおすすめします。

①ミラーリング

ミラーリングとは、相手のしぐさや姿勢を鏡に映しているようにマネるテクニックになります。

例えば、あなたがラポールを築きたい人とカフェにいるとします。その際に、相手がコーヒーを飲み始めたら、あなたも同じタイミングでコーヒーを飲みます。

これは意識的にタイミングを合わせて、同じ行動をとるわけですが、仲の良さそうなカップルのしぐさをよく観察すると、自然と「ミラーリング」が行われていることに気づくと思います。

気の合う者同士では、しぐさが似てくるものだからです。長年連れ添った夫婦が似てくるというのは、振る舞い方が似てくるからと言えます。

②ペーシング

ペーシングとは、相手の話し方やリズムを合わせるテクニックです。

ミラーリングと似ていますが、少し違います。

ミラーリングは、相手のしぐさを真似ます。
ペーシングは、相手の話し方を合わせます。

相手がゆっくり話す人ならば、こちらもゆっくりと話します。
相手が早口な人ならば、こちらも早口で話します。

相手の呼吸に合わせていくには、相手の肩や胸の動きに注目してください。すると、相手のリズムに合わせやすくなります。

③キャリブレーション

キャリブレーションとは、相手の心の状態を仕草から認識するテクニックになります。

言葉以外の重要なサインとして、姿勢や振る舞い、手の動き、呼吸、表情、声のトーンなどがあります。

例えば、相手が病気の時には、顔色の悪さから具合が悪いことを察知できると思います。同様に、相手が疲れているようならば、口では「元気です」と言ったとしても、声のトーンや顔色などから疲れていることを感じられると思います。

緊張していれば、どことなく顔が強張っていて、伺い知ることができるはずです。

言葉からではなく、わずかな状態の変化から相手の気持ちを読み取ることで、相手は信頼感を持ってくれやすくなるのです。

④バックトラッキング

バックトラッキングとは、いわゆる「オウム返し」のことです。

相手の言ったことを繰り返して自分も言うことです。

相手の言葉を使って繰り返すことで、「あなたの話を聞いている」と受け止めていることを伝えることができます。

まとめ

ラポールは、「信頼関係を築く」という意味のコミュニケーションです。

人は信頼できる人からしか、話を聞くことができません。昨今の情報社会においては、情報は溢れています。ましてや、それらは両極に振られたあらゆる情報になります。

自分にとって良い情報は、信頼できる人からの話に影響され、優先させます。したがって、コーチングにおいては、ラポールの構築は非常に重要なポジションを占めています。まずは、信頼づくりです。

ここではラポールの構築のための4つの代表的なスキルをご紹介しましたが、あくまでも信頼関係を築くことを優先することです。

コミュニケーションの上手な人は、上記のようなスキルを用いなくてもラポールを築けますし、また無意識にそういったことができています。

一方、コミュニケーションが苦手な人は、このようなスキルを意識することから始めることで、やがて自分のものとして身についていくでしょう。

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