コーチングの一番のメリットは、クライアントが自分で問題解決能力を身につけていけるようになる、ということです。コーチからの適切な質問によって、クライアント本人が自分の内側から答えを導き出すことができるようになる、ということです。
一方、コーチングのデメリットは、まだコーチング経験の浅い人にとっては、いきなり自分の内側から答えを導き出すことを求められても、正しい答えをうまく導き出せずに、かえって混乱をきたしてしまうことです。
私たちはこれまで、「人生を自分で考える訓練」をしてこなかったために、なかなか自問自答ができません。小さな頃からみんなで同じことを教わる「ティーチング教育」が主体でした。
それは、自分の意見を持たなくても学校で優秀な成績を取ることのできる教育、とも言えます。日本でコーチングがなかなか効果を発揮しないのは、このような背景があるからです。
ここでは、コーチングのメリットとデメリットを確認していきましょう。
1. コーチングのメリットとは?
コーチングは、他の学習や練習と比べて、個人の能力をより大きくのばせるというメリットがあります。
クライアントが「成長したい」というモチベーションを強くもつことにより、コーチの期待を上回る成長を見せることがよくあります。
1-1. コーチングは個人を大きく伸ばす
個人を大きく、かつ効率的に伸ばしたいときには、コーチングが最適です。
仕事上でのコーチングは、あらゆる場面で応用できます。
- 営業成績を上げるため
- 業務改善を行うため
- 今後の計画を練るため
など、場面はいろいろありますが、適切な質問を繰り返すことで、表面化していない問題を解決させ、前進できるようになります。
1-2. コーチングは学ぶことがベース
そもそもコーチングというのは、「学ぶこと」がベースになっています。
そのため、幼稚園児から学生、社員、管理職、社長に至るまで、幅広く活用できます。
1-3. ぐんぐん伸びる人の特長
コーチングを導入することによって、成績をぐんぐん伸ばしていく人がいます。
伸びていく人の特長としては、とても積極的にコーチングを受けている、という点に尽きます。積極的にコーチングを受けようとする意識や行動は、必ずより良い結果につながります。
その逆で、コーチングを導入しても結果に結びつかない人の特長は、セッションを受動的に受けている人です。
受け身でいると、どうしても創意工夫や挑戦意欲が生まれず、結果として伸びにくくなり、コーチング自体を脱落してしまいます。
2. コーチングのデメリットとは?
コーチングを行っている会社を調べてみると、コーチングの手法は様々でありますが、自主性を高めることができるという点においては、そのコーチング企業も一致しています。
多くの企業でコーチングを導入している背景には、社の自主性を重要視されているからと言えます。
ところが、コーチングを導入しても、なかなか業績に反映されないケースがあります。
社員(クライアント)自体に積極性がなければ、うまくいかないのは当然なのですが、そうではなく、一生懸命コーチングに挑んでも良い結果が出ないケースがあります。それはなぜでしょうか?
2-1. コーチングスキルがないコーチがいる
昨今のコーチングブームで、たくさんのコーチが生まれています。
経験豊富でクアラアント思いの一生懸命なコーチもいれば、勉強不足で粗い質問をし続けるコーチもいるのが現状です。
コーチは、きちんとしたコーチングスキルを持つことが要求されます。 コーチングスキルがないコーチに、形だけのコーチングを受けても、当然、良い結果は出ません。
したがい、初めてコーチングを受けるときには、コーチの力量を十分に判断できないため、能力のないコーチを選んでしまうことがあります。これが最大の問題です。
2-2. コーチと相性が合わない
コーチとの相性もあります。いくら能力のあるコーチとして評価されていても、コーチとの相性が合わずに、十分な成果を残せないことがあります。
したがい、心を委ねることができずに、頼ることができずに、すなわち、コーチとして信頼できないために、うまくいかないケースです。
3. コーチのメリットとは?
今度は、コーチを受ける側(クライアント)のメリットでなく、コーチングをする側(コーチ)のメリットを確認しましょう。
3-1. 専門分野以外でも対応できる
コーチングは、専門分野の枠にとらわれない質問を行うことで、クライアントの発想の転換ができます。クライアントの行動変容を起こさせることができます。
3-2. 専門分野以外でも対応できる
クライアントの専門分野に固執せずに、視野を広げて質問ができるようになると、目が行き届くようになります。
話すときに相手の目を見る、相手の動きや言動を真似るなど、コーチングで使う色々な手法がありますが、結局はコミュニケーションを円滑にするための行動がまとめられたものなのです。
自らの観察力が高まることで、どのような人にでも対応できるようになります。
4. コーチのデメリットとは?
今度は、コーチを受ける側(クライアント)のデメリットでなく、コーチングをする側(コーチ)のデメリットを確認しましょう。
4-1. 専門分野のアドバイスができない
クライアントの専門分野に関するアドバイスができないという欠点があります。
コーチは幅広いジャンルのクライアントと接しているので、ある程度のところでの理解や共感はできます。
ところが、高い専門性を帯びた内容での困りごとに対しては、アドバイスをできるだけの知識やスキル、経験がないために、答えてあげられません。
4-2. 全部を解決できない
コーチングは、コンサルティングでも、ティーチングでも、カウンセリングでもありません。コーチングという範疇の中で、良い結果が出るように導くことが求められます。
したがい、教育したり、指導したりできず、クライアントの内側から引き出すことをベースに質問を重ねていくことが主なセッションになります。
4-3. 違和感がある
コミュニケーション力が乏しいコーチ、あるいはコーチング経験の少ないコーチは、友人たちとの会話の中に、突然質問を投げかけるようなコミュニケーションを取ろうとしがちです。すると、周りの人に何らかの違和感を憶えます。
そもそもコミュニケーション力のある人は、その辺のバランスを無意識に調整できるのですが、自らがコミュニケーションの悩みを抱えていた人がコーチングに辿り着いた、というようなケースの人では、しばしばこのような不自然はコミュニケーションをとってしまい、かえって難しくしてしまうことがあります。
まとめ
コーチングの最大のメリットは、クライアントが次第に自分で問題解決ができるように力をつけていくことにあります。
コーチの適切な質問によって、自分の内面から答えを導きせるようになります。
また、コーチとクライアントの双方の理解が深まり、信頼しあえる関係になります。
オリンピックなどのスポーツの場面で、選手が優勝してコーチに抱きつくシーンを目にしたことがあると思います。
そんな信頼関係を築きあえれば、最高のコーチとクライアントということになるでしょう。
一方、コーチングのデメリットは、経験の浅いクライアントにいきなり「答えは自分の中にある」と迫っても、クライアントは正しい答えを導き出すことができず、混乱してしまう点です。
また、実力も経験のないコーチによるセッションのため、そもそも良い結果を導き出せないということもあります。コーチ選びは相性もありますので、十分精査して選んでください。