DAY 3. The nature of loss and letting go 失うことと手放すこと/ビジョン心理学チャック・スペザーノ博士 幸福こそ最大の復讐である
私はいろいろな人たちと仕事をする中で、「手放す」ことについて一定の法則を見つけました。 まず第一に見つけたことは、苦しみはただちにおさまることもあれば、一年も、それどころか、一生続くこともあるということです。 どのくらい続くのかということは、状況によるものではありません。どのくらい長く続くのか、どのくらい早く、あるいはゆっくりとプロセスが進行するのかは、あなた自身にかかっています。経験や喪失と同じように、その苦しみの過程がどのくらい続くかを決めるのもまた、あなた自身なのです。
私は苦しみをただちに終わらせようとした人々を知っています。これは美しく勇敢な瞬間であり、それが終わると彼らは、最後に自分のしてきた経験や人間関係を統合し、自らの人生を進めていくための準備を整えました。私は手放すのを拒む人々も見てきました。彼らは現在に対して愚痴を言い、末来を嫌い、昔に戻りたいとばかり望んでいるのです。そういった人々は、人生に対して憤り、去っていったものに対して憤り、そして最後には自分自身に対して憤ります。そのため、今自分に与えられているものに対しても、人生全体に対しても、扉を閉ざしてしまいます。もし 「手放す」ことを拒むと、依存する、自立する (*)、あるいは偽りのヘルパー(自分の傷や問題に直面したくないために、人を助けようとばかりすること)といった、自滅的な傾向を持つことになるでしょう。
「手放す」ことは何か月も何年もかかることがあります。この期間に、あなたは落ち込み、気力がなくなり、憂鬱で悲しい気持ちになり、いつもの魅力的なあなた自身でいられなくなります。「手放す」まで、あなたの心の中ではかつてのパートナーとの関係が続いていて、他の誰をも見ようとはしなくなります。そして、時には怒りや苦痛を避けるために、あなたは人間関係の扉を閉ざしてしまいます。それに気づき、再び扉を開けようとするまで、自分にふさわしい人が誰も現れないように思えてしまいます。
「手放す」ことについて私が見つけた一番強力な法則は、あなたが手放すと、失ったものよりも、ずっといいものが代わりに現れるということです。この法則は人間についても、また状況についても当てはまります。確かに逆説的ですが、執着やファンタジーを手放した今は、ただ満たされるべき空間だけが残っています。それは新しい人生のための場所でもあるのです。諺にもあるように、自然は真空を嫌います。あなたが手放すと、物事はあるべき正しい場所に収まり、あなた自身も今を生きることによって、もう一度やり直すことができるのです。
EXERCISE
1. 今日は 「手放すと代わりにもっといいものがやって来る」という法則について10分間考えてみましょう。一日の中で時おり、このことをあなたの現在の状況に当てはめて考えてみてください。
2. 今日は思い出の品々について見てみましょう。手紙、洋服、贈り物、写真など、なんでもかまいません。そういったものを並べてみましょう。捨てるべきものは捨て、片づけるものは片づけることにしましょう。物事が今あるべき場所をあなた自身が決めてあげるのです。片づけをしながらわいてくる、様々な感情を味わいましょう。これはあなたを過去から解き放ち、現在に導く手助けになります。
「手放すと、代わりにもっといいものがやって来る」
*「自立」
感情を感じることがてきず、人とのつながりを持てない生き方。本人は気づいていないことが多いが、子供の頃の傷があまりにも深いために、まわりに壁をつくり、 自分や人をコントロールして、お互いを傷つけないようにしているのです。
ビジョン心理学創始者 チャック・スペザーノ博士