できない自分に直面したら

仕事・キャリア

会社生活がずいぶん長くなりました。入社をしたときには、こんなに長く勤めるとは思っていませんでした。しかも同じ部署でずっと働き続けているわけです。だんだん先輩と呼べる人が少なくなり、後輩ちゃんがどんどん増えて、同期がとってもえらくなり、年下の上司につくことにもすっかり慣れました。相手に気を使うより気を使わせる立場になり、相手に気を使わせていることを感じて、かえって気をつかう自分に苦笑いすることもあります。

同じ会社、同じ部署にずっといるのだから、なんでも知っているし、なんでもできるだろうと思われるかもしれません。いやいや、とんでもありません。会社にいるとできない自分に直面します。そしてときにはとても落ち込むのです。

わたしが所属する部署には優秀な人がたくさんいます。
TOEIC満点の人、弁護士資格を持っている人、新しいオペレーションシステムを作ってしまう人、技術的なバックグラウンドがありながら、法律関係のお仕事をしているひと、そしてその逆の立場の人もいます。

無邪気に「みんなすごいなあ~」で終わればいいのですが、それに比べてわたしは・・・となってしまうと自分いじめが始まります。なんだかおちこぼれのような気分・・・。この職場でわたしは役にたっていないのではないか、という考えがじわじわとわいてきます。

そこで悔しさを感じて、だったらスキルを磨こう!と勉強をしたり、セミナーに参加したりして、できないことをできるようにしていくこともできます。特に新入社員のときや社内異動や転職といった仕事の内容が全く変わるタイミングではとにかくがんばるしかありません。しかも、その時のがんばりは必ず実を結び、新しい仕事にチャレンジして達成することで自分に自信がつき、また次の仕事を頼まれることで信頼と実績が積みあがっていきます。

とはいえビジネスの世界は常に新しい制度や新しいシステムを次々と取り入れ、ものすごいスピードで変化していきます。すでに習得していることもどんどんアップデートされていきます。社内にいる弁護士の方は常に法改正をチェックし、勉強しているのを見ると仕事というのはずっと学んでいくものなのだと気づかされます。そして謙虚に学び続けようと思うのです。

とはいえ、時には意欲が落ちて、学ぶことや新しいシステムを受け入れることに疲れを感じることもあるでしょう。そして、自分の心が弱ってひどくなると自分いじめが始まることがあります。がんばってもわたしにはできない、ここではわたしは役にたっていないかも、というネガティブな考えにはまっていきます。本当はそこで自分のマイナスの感情に気づいて、いまそんな風に思ってしまっているのね、と自分を優しく受け止めればいいのですが、そこでなんとしてでも役にたつことを証明したいと心のどこかで思ってしまうわけです。この無価値観からくる行動は幸せとは全く逆の方向に向かってしまいます。

こんなことがありました。ある日、同僚から「会議室に掃除道具を持ってきてください」と連絡がはいりました。うん?会議室が汚れているから掃除しろってこと?(そこまでは言われていませんが、すでに思考は先走っています)それってオフィスをサポートする部署の仕事よね(どんどん勝手にネガティブに受け取ります。)そして、それはわたしの仕事ではない~っ!と強く思いました。掃除道具が必要なら社内のポータルサイトをみなさいよ、こんな風にわたしを扱うなんて許せない、と猛烈に腹がたったのを覚えています。(喧嘩はしておりませんのでご安心ください。)

あとで落ち着いてふりかえると、その人がわたしにひどい扱いをしたのではなく、わたしがその人を使ってわたしをそんな風にあつかわせたのです。なぜならわたしは仕事ができないし、能力がないし、役にたっていないから。せめてなんでもいいから役に立つことをしようと思って、見事にそのなんでもいいことを自分にさせるということを実現させたのです。
あ~あ、そんな風に自分をあつかっちゃったのだなというやるせなさをいまなら感じることができます。

何か出来事が起きて、それに対して、一方的に相手に怒りを感じることはよくあると思います。そこで、相手に怒りをぶつけるのか、いやいや待てよ、なぜこんなことが起きたのだろうか、さらにもう少し深めてどうしてこんなことをわたしは起こしたのだろうかという考え方をすることでずいぶん会社生活を楽に過ごすことができましたし、無用な対立を避けることができたと思います。

そしてその“お掃除道具持ってきてよ事件”からさらに時間が経つとまた違った見方がでてきます。当時自分いじめをして自分のパワーをすっかり失ってしまったわたしに対して、その同僚は奮起するチャンスを与えてくれたのだとふと思えたのです。確かにあのとき怒りを感じて、これはわたしの仕事ではない、もう2度と自分をこんな風にあつかわないし、あつかわせない!ときっぱり思ったことは鮮明に覚えています。そんな風に違う見方をすると、怒っていた相手がとてもありがたい存在に変わってくるから不思議です。いまではそのことを気づかせてくれた同僚にとても感謝しています。
できない自分に直面したら、そんな自分を優しく受けとめたいものです。

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