Lesson 87. 努力と成功
レバノンの詩人、カリール ・ジブランはこう述べています。
「労働とは目に見える愛である」 一 与えることは一種の愛の形にほかなりません。自らの労働に心から与えている分野において、私たちは愛を与えていることになるのです。
いかなるプロジェクトにおいても、最初の段階で成功に必要なのは、私たちの「ハードワーク(重労働)」です。加えて若者時代には、自分の成功に必要なものを学ぶための「勤勉さ」も欠かせません。しかし、私たちが前進するにつれ、成功の決め手となる要素は「ハードワーク」ではなくなってきます。実際のところ、休みなく重労働を続けるほど生産効率は落ちてしまうものです。ある程度前進を重ねるにつれ、「ハードワーク」は、プロジェクト成功のために避けるべきものになっていくのです。
「ハードワーク」は、私たちが最初に身につける役割のひとつと言っていいでしょう。がむしゃらに働けば、家族に関する罪悪感や失敗感を埋め合わせることができます。当然ながら、私たちは「そんな感情と向き合うよりも、がむしゃらに働いた方がいい」と考えてしまうのです。ところが、エゴは私たちのこのような感情を利用し、変化や親密感、成功に対する怖れを煽り立てようとするのです。
ここで、引っ越しを例に「ハードワーク」について考えてみましょう。引っ越しするとき、私たちは荷物の梱包と荷解きをせっせとくり返します。そして、それらの作業が一段落つくと、今度は休む間もなく室内の掃除や修繕に取りかかります。
でも、それらの作業を行う本当の目的は「その家に暮らす家族との関係を楽しむこと」にほかなりません。それなのに、雑事に追われるうちに、私たちはいつしかその目的を見失ってしまうのです。
「ハードワーク」を利用して人間関係を避けた場合、私たちは本来得られるはずの喜びを敢えて無視することになってしまうのです。
いかなるプロジェクトにおいても、第2段階で大切になってくるのは、私たちの「関わり」、「変化するための意欲」、さらに「現在の成功を維持するための前進」です。成功をもたらすのは、私たちの信頼にほかなりません。その信頼とは結局、私たちが自分自身に積極的に関わり、自信を生み出すことでもたらされるものなのです。
あなたは何かを避けるために努力をしていませんか? ここで、それを簡単に見分ける方法を紹介しましょう。人生における停滞感、疲労感、行き詰まり感が高いほど、あなたは何かを避けるために、がむしゃらに働いてしまっています。そんな「ハードワーク」を 〈何かを避けるため〉ではなく〈何かに関わるため〉に変えることができるのはただひとり、あなたしかいないのです。
「ハードワーク」は、あらゆる否定的な感情を隠しています。そしてその否定的な感情の下には、例外なく怖れがひそんでいるのです。自分の怖れよりもパートナーシップ、チームワーク、成功を大切にすれば、あなたは前に進むことができます。
親密さと創造性に対する怖れを手放せば、豊さと喜びを手に入れることができます。そして贈り物と自由自在さを見つけ、真のリーダーシップを手にすることができるのです。あなたの怖れと向き合い、あなたの人生を「豊かな成功に恵まれたもの」 として再定義できる人はただひとり、あなたしかいないのです。
自らの愛を与える行為として、努力と労働があげられます。世界を築くのを助けるために、やるべきことは多々あります。あなたはその作業を喜びと共にこなすことができるのです。
「ハードワーク」を防衛手段として利用することで、自分からそのような心地良い感情や努力によって得た成功を奪ってはいけません。
今日は、自分の怖れと向き合ってみましょう。それが幻想に過ぎないことを理解し、あなたのはたらきにふさわしい満足感と報酬を求めるのです。
ビジョン心理学創始者 チャック・スペザーノ博士