受け入れるという成功/ビジョン心理学チャック・スペザーノ博士成功心理100

Lesson 90.  受け入れるという成功

 

仏陀は、悟りへの到達方法をこんな簡潔な言業で表現しています。「何も望まず、何にも抵抗しないこと」
多くの人が「悟りとは何も欲しないこと」という部分を、格言として聞いたことがあるはずです。それに比べれば、「悟りとは何にも抵抗しないこと」という格言を聞いたことがある人は少ないのではないでしょうか? しかし後者こそ、受け入れることが持つ癒しのパワーの説明にほかなりません。受け入れることにより、困難な状況を自分の中に取り入れ、「その状況と戦わないこと」を選択できるようになります。そう、「戦い」こそ、痛みを生み出してしまうものにほかなりません。

ここで大切なのは、受け入れることを「服従」や「誰かに傷つけられるのを許してしまうこと」と混同しないことです。受け入れた先には、エゴの計略とはまったく異なる体験が待っています。受け入れたものは、過度の支障を感じることなく、スムーズに体験し学ぶことができます。その一方で、抵抗して押しやったものは、それを受け入れるまで私たちをずっと傷つけることになります。

受け入れるとは、「私たちがそこで起きていることを好きになること」ではありません。「私たちがそこで起きていることの傷にとらわれなくなること」です。受け入れることを通じて、私たちは教訓を学んでいきます。そして結果的に、自分を傷つけているものを手放すことができるのです。状況全体を見渡せるようになるため、よりバランスのとれたやり方で前進できるようになります。受け入れるとは、まさに受胎告知を受けた聖母マリアの言業(「なすがままに」)に由来する態度にほかなりません。

自分の人生を振り返ってみてください。まだ傷と敗北がある場所には、受け入れていないもの、拒絶感、そしてハートブレイクが存在しています。このせいで、私たちの内面では、ハートとマインドのつながりが断たれた場所が生まれてしまっているのです。その傷の度合いは、私たちが人生から引きこもる度合いに比例します。どう考えても、こんな状態が私たち自身や私たちの成功のためになるとは考えられません。

私たちは人生の中で、「この人はダメだ」「どうしても変えてしまいたい」と思う相手に出会うことがあります。これにより、私たちの前進が妨げられてしまうことは言うまでもありません。さあ、今こそ、彼らをあるがままの姿で受け入れるべきときです。これは、彼らに「私を苦しめてもいい」という許しを与えることとは異なります。もしそうなら、彼らと私たちの両方が罪悪感を覚え、前進するどころではなくなってしまうでしょう。

あなたが傷つけられたという感じ、拒絶感、あるいは敗北感を抱えている場所を振り返ってみてください。あなたがその状況の関係者、その状況そのもの、あるいは自分自身を受け入れるのを邪魔しているものは何でしょう? あなたは自分自身のために、そして関係者全員のために、今それを受け入れることができますか? 今すぐこの場で、それを受け入れられますか?― なぜなら実際に起きていることは、あなた自身の体験の反映にほかならないからです。「これだけは起きませんように」という気持ちが、あなたを滞らせてしまっています。それは、受け入れるべき真実にほかなりません。
受け入れないことは、一種の拒絶と言えるでしょう。否定の状態にあるあなたの一部はその状況へ、そしてそれ以前の純真さへ戻りたがっているのです。

受け入れることは、あなたを次のステップヘ導きます。さらに成熟し、もっと成功することができるのです。受け入れれば、あなたは自分のマインドとハートを再びつなげることができます。受け入れられないものは、あなたを滞らせてしまうでしょう。たとえば誰かの死を受け入れられないと、あなたはその人のお墓参りばかりすることになります。でもそれでは、あなたの心の中で起こるべき「よみがえり」は実現しないのです。

どうか次のことをよく覚えておいてください。あなたの傷は、あなたが拒絶したものを示しています。敗北は、あなたが抵抗したものを示しています。今こそ、受け入れることで昔の敗北やハートブレイクを克服すべきときです。今こそ、すべてを受け入れて成功すべきときなのです。

ビジョン心理学創始者 チャック・スペザーノ博士