過去を克服する/ビジョン心理学チャック・スペザーノ博士成功心理100

Lesson75.  過去を克服する

 

過去を克服できなければ、その過去は私たちの未来に暗い影を落とし、現在の私たちを脅かし続けることになります。その過去を克服しない限り、私たちの人生が前に進むことはありません。自らの過去により、私たちは現在の困難を乗り越えるために必要な「贈り物」や「可能性」に気づけなくなってしまうのです。

人生の中で、私たちが癒しきれないまま埋めてしまったものは、「葛藤」という形で現在に表れてしまいます。それがいかなる分野のどんなものであれ、このことに変わりはないのです。この中には、私たちの子供時代や家族、恋愛関係、学校、友人といった側面が含まれます。

結果として、私たちは人生から引きこもったり、現在において何らかの 葛藤に巻き込まれることになります。このどちらの状況も、私たちの成功の妨げになることは言うまでもありません。こういった場合、成功を促してくれるのは「許し」だけです。そこでのレッスンでは、この「許し」に関するあなたの動機を高めていきたいと思います。

現在私たちが抱える人間関係の問題は、過去に誰かに対して抱いた「恨み」に由来しています。より深いレベルにおいて、どうしても許せない相手がいるとしたら、それは私たちの自己概念を映し出しているからなのです。

私たちが「どうしても許せない」と感じる人びとの言動には、以前の自分自身の言動が反映されています。私たちは他者の 中に自分自身の姿を認める一方、自分の中のその部分は拒絶し、正反対の行動をとることで埋め合わせようとしているのです。

自分が埋め合わせをしている分野はどこか、見きわめる方法がふたつあります。ひとつ目は、私たちが働き詰めにもかかわらず、ほとんど受け取れていない分野に注目するやり方です。これは、私たちが何かを埋め合わせようとしている確かな兆しにほかなりません。

ふたつ目は、「あの人の言動はどうにも我擾できない !」と思ってしまう人が周囲にいるかどうか、確認するやり方です。これこそ、私たちがかつてそのような言動をとっていたサインであり、その点に関する自己概念を手放しきれずに埋め合わせている証拠なのです。

おそらく、私たちはそういった自己概念を「影の部分」として隠してしまったのでしょう。かつて同じような言動をとっていた自分に関する「過去の人生物語」を、自らの内側に埋め込んでしまったのかもしれません。あるいは、子供の頃にこの 自我に関して間違った判断を下し、それを抑制してしまったのかもしれません。さらに言えば、その自己概念は家系を通じて、無意識に引き継がれてきてしまった可能性もあるのです。

その自己概念を許して統合するよりもむしろ、私たちはそれが自分ではないかのように批判し、自分から切り離してしまっています。でもこのことに気づき、理解さえすれば、それは学びの一部となり、私たちを成功へと導いてくれるのです。

現状において、私たちを苛立たせる人物がいる理由が、もうひとつだけ考えられます。それは、私たちが「自分は彼らから 被害を受けている」と感じているからです。より深いレベルで言えば、これは私たちが彼らを利用していることを意味します。私たちは自分の怖れ(エゴが私たちに「真実だ」と教えるもの)に直面しなくてもいいように、彼らを利用しているのです。そして次の段階に進まず、贈り物(エゴが「これは危険だ」と保証するもの)を受け取ろうとしない言い訳として、彼らを利用しているのです。

私たちは自分自身や自らの目的を怖れ、前進しない自分を正当化するために他者を利用してしまっています。これこそ、このレッスンの冒頭でふれたパターンのくり返しにほかなりません。私たちはその問題がはじまったときからずっと、その過去の人物を利用し続けてしまっているのです。

大抵の場合、私たちは自分の怖れと向き合おうとしない言い訳として、過去・現在を通じてその人物を利用しています。他者に対する批判は、まさに自己批判からはじまると言っても過言ではありません。本当のところ、私たちは自分自身とその人物が「似ている」と考えているのです。以上のことを踏まえ、次の表を埋めてみましょう。

現在の問題は何か? (      )

私が許していないのは誰か?(      )

私はどのような自己概念を抱いてしまっているか?(      )

その自己概念は、私にどのような言い訳を与えているか?(        )

ここで簡単な選択を下しましょう。あなたは許しますか?
ーこの表の完成により、許しに対するあなたの理解は深まり、動機も高まっているはずです。ひとたび完全に許す心の準備が整えば、あなたは実際、そこには許すべきものなど何もないことを理解するでしょう。どうかこのことを肝に銘じておいてください。あなたがこのような自己概念を持たない限り、あなたの人生には「許せない人」など存在しえないのです。

過去を克服するために、次の質問を自分に投げかけてみてください。あなたは現在問題となっている人物と、その問題がはじまったときの過去の人物の両者を許すことができますか? あなたは自分自身を許しますか、それとも自分を罰し犠牲にすることで、隠れた罪悪感と無価値感を清算しようとし続けるつもりですか?
あなたは自分の投影を手放すことができますか?あなたは神を許し、神を言い訳にして自分の歩みを遅らせていたことを認めますか?

あなたが許せば、あなた自身が自由になります。あなたが許せば、彼らも自由になります。あなたが許せば、次の一歩に対する怖れを癒すことができるのです。
許しとはあなたの目的であり、あなたの目的達成のための手段でもあります。あなたは許しを選択しますか?もしここで許さなければ、誰かを責め続ける道しか残されていません。でもその道を選択すれば、あなたは愛する人びとのためにも、自分の成功のためにも生きられなくなってしまうのです。

ビジョン心理学創始者 チャック・スペザーノ博士